テーラードブランクとは?溶接部分の自動外観検査機をご紹介

【POLASTAR-三次元計測】

テーラードブランクとは、板厚や材質の異なる複数の鋼板を溶接で繋ぎ合わせてできた1枚の鋼板(ブランク)の事で、その工程・工法を指す場合もあります。
従来であれば、材料をプレスした後に補強部品を組み付けていましたが、適材適所に材料を配置し溶接することで補強部品が不要になり軽量化に繋がるなどのメリットが存在します。
なぜこのような手法が生まれたのかを詳しく解説します。

【このページがおススメな人】

  • テーラードブランクについて知りたい方
  • テーラードブランクの溶接部分の外観検査工程を検討中の方

▼トヨタ自動車様の新型ランドクルーザー生産ラインで、溶接部の自動外観検査工程にPOLASTARが採用されました。

ランドクルーザー300系の生産ラインにご採用いただきました。

テーラード・ブランク(tailor welded blank:TWB)は、板厚や材質の異なる複数の鋼板を溶接で繋ぎ合わせてできた1枚のプレス用鋼板(ブランク)の事で、その工程・工法を指す場合もあります。
従来であれば、補強用部品を追加する必要がありましたが、板厚や材質が異なる鋼板を繋ぎ合わせてから1枚の鋼板の中で部分的に特性を変えることができるようになりました。軽量化と耐久性の両立に繋がるとして最近では自動車のボディで一般的に用いられるようになってきています。

テーラードブランクのイメージ図

テーラードブランクのメリット

  1. 異なる板厚や材質を適材適所に配置できる
  2. 軽量化と高剛性化を両立
  3. 部品点数を削減
  4. 材料の歩留まりの向上と生産性の向上を実現
  5. コストを削減

テーラードブランクのデメリット

  1. 溶接品質の保証が難しい
  2. プレス成形性を確保した溶接が難しい

テーラードブランクに用いられる溶接の種類

テーラードブランクで主に用いられる溶接は次の4種類です。

1. レーザーアークハイブリッド溶接

レーザ溶接とアーク溶接の長所を活かしながら、欠点を補完しあう溶接方法です。レーザ溶接で形成される溶融池にアークを発生させることで、レーザ溶接単独よりも溶け込み幅を増加させ、高速度化が可能となります。

2. レーザー溶接

レーザー溶接は、レーザー光をレンズなどで集め、焦点を小さく絞って照射し、溶接を行います。エネルギーを溶接部分に集中させられるため、面積がごく狭くても溶接でき、溶接速度も速いというメリットがあります。例えば、狭い隙間を埋め込む形で溶接することがレーザーなら可能です。一方で、厚く肉盛りするには適していません。

3. マッシュシーム溶接

2枚の金属板の端部を重ね合わせ、その重ね合わせた部分を一対の電極輪で加圧し、溶接電流を流しながら連続的に溶接すると同時に、高温状態に加熱され軟化した接合部を電極輪で圧延することにより、接合部厚みを低減する溶接方式です。被溶接材の板厚差や強度差が大きい場合には適していません。

4. プラズマ溶接

プラズマガスと拘束ノズルによる熱的ピンチ効果を利用して細く絞ったプラズマアークを熱源とする非消耗式溶接法です。熱集中性が良いため、ビード幅が狭く、高速溶接が可能です。

テーラードブランクで発生する溶接の不良

1. アンダーフィル(ヒケ)

溶接ビードの厚みが鋼板板厚に比べて薄くなることをアンダーフィルと呼びます。この部分をきっかけにして破断などの原因となります。

アンダーフィル(ヒケ)

2. 突出し(余盛)

開先又はすみ肉溶接で必要寸法以上に表面から盛り上がった溶着金属を突出し(余盛)と呼びます。

突出し(余盛)

3. 板合せ段差

厚板と薄板の差を板合せ段差と呼びます。

板合せ段差

テーラードブランクに用いられる溶接検査の手法

目視検査

突合せ接合部分の溶接ビードをプレス工程前に、板材の裏側から目視などの方法で直接観察する方法が挙げられます。この検査方法は、溶接ビードが板厚方向に貫通している状態を観察するため、溶接ビードの溶け込み深さの良否判定を直接的に確実にかつ迅速に行なうことができるので、極めて有効な方法であると言えます。

目視検査の課題

溶接作業は一般的に板材をクランプした状態で上方から溶接することが多く、その状態のままで検査員が裏面から溶接ビード部分を観察するにはスペース的に困難なケースが多いです。さらに溶接部分の外観検査はインラインでの全数検査が主流であり、効率的な検査が求められ、ワークの反転工程は現実的ではありません。そこで”非破壊”かつ”非接触”で”自動検査”を実現できるレーザーセンサを用いた「3D外観検査」の採用が増えています。

最新の自動外観検査システム

3Dカメラと多関節ロボットの組合せで溶接箇所の外観を自動検査

コアテックのPOLASTAR(ポーラスター)シリーズは、多関節ロボットに取り付けた3Dカメラヘッドと3Dデータを解析するコントロールBOXをパッケージ化した溶接外観検査システムです。
汎用品の3Dカメラシステムでは形状比較で良否判定を行うことが多いですが、POLASTARは溶接の外観検査専用に開発した30を超える検査項目で、3Dデータを解析し検査項目ごとに寸法を出します。各寸法が閾値内であるかどうかを基に良否判定を行います。
また1か所に対して2回以上のスキャンを合成する機能も搭載しており、ワーク形状が複雑になりやすいテーラードブランクでも、3Dスキャンしやすいのが特長です。

POLASTARはレーザー溶接にも対応

アーク溶接の外観検査だけでなく、レーザー溶接の外観検査項目にも対応しています。3Dデータ化した溶接形状を解析し、各検査項目ごとに数値で判定します。形状比較ではないため、数値での品質管理が可能です。

まとめ

テーラードブランクは部品点数を削減でき、自動車の燃費向上(軽量化)や衝突安全性の向上(高剛性化)という課題を解決するだけでなく、コスト低減のメリットも得られる技術として関心が高まっています。しかしテーラードブランクの品質を確保するためには、溶接の外観検査を「インライン」かつ「全数検査を行う」という2つの高いハードルが存在します。これらを解決する手段として、3D技術で溶接部の外観検査を自動化するPOLASTARが注目されています。

事例紹介資料のダウンロード

ランドクルーザー300系の生産ラインにご採用いただきました。

トヨタ自動車株式会社様 ランドクルーザー300系の溶接検査機としてPOLASTARを採用いただきました。
こちらのフォームから事例紹介資料をダウンロードいただけます。


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