トルク保持モードとは

【ナットランナー】

WPSナットランナーシステムの新しい動作モードとしてトルク保持モードが加わりました。
トルク保持モードは以下のような動きをします。
(1)目標トルクに向かって指定速度で締め付けを開始する。
(2)目標トルクに近づくにつれて、自動的に減速する。
(3)指定されたトルク範囲を維持する。

(1)、(2)は従来からあるトルク目標モードと同じ動きです。
トルク保持モードでは(3)の動きが付け加えられています。

トルク保持モードの目的-複数軸の同期

多点同期締めでは締め付け途中で数回の同期動作が入ります。
従来では電流制限によるストールで同期を行っていました。
電流制限によるストールでは正確なトルク値でストールさせることはできません。
トルク保持モードでは指定値どおりのトルクでのトルク保持が可能です。

トルク保持モードの予想外の効果-緩めトルクの比率が高い

ねじを締め付けた後にその状態から緩める試験を行い、締め付けトルクと緩めトルクの比較を行いました。

なぜ?
ワークの局所的な歪が一定の時間が経過することで全体に拡散し、解消することが原因として推測されます。
静止摩擦係数、動摩擦係数が有効な領域を複数回往き来することも要因として考えられます。

トルク保持モードの実用性

(1)同期回数の削減
 多点同期締め付けでは、多い場合は3回以上の同期を行う場合があります。
 最終締め付け結果の検査トルクを目標値に収束させるためです。
 トルク保持モードを使うと、同期は1回で十分です。
(2)低剛性のワークの締め付け
 シール材を巻いたねじを通常の動作で締め付けると、締め付けトルクに対して検査トルクがかなり低くなります。
 トルク保持モードを使うことでこのような問題を解消できる可能性が有ります。

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