レーザー溶接とは?特長とメリット

【POLASTAR-三次元計測】

レーザー溶接の技術は、1960年にセオドア・メイマンが世界初のルビーレーザーを発明したことから始まりました。レーザー技術は、その後急速に進化し、1970年代には工業用途での活用が始まりました。当初は微細加工に特化していましたが、1980年代に入ると自動車や航空宇宙産業にも導入され、高強度で精密な溶接が可能になりました。現在では、ロボット技術と組み合わせた自動化プロセスとしても普及しています。

ロボットで行うレーザー溶接のイメージ

1.高精度・高品質な溶接

レーザー溶接は、極細のレーザービームを使用することで、微細な部品や複雑な形状の製品でも精密な溶接が可能です。従来のアーク溶接では、熱による膨張や収縮の影響で精度が低下することがありましたが、レーザー溶接ではこうした問題が最小限に抑えられます。

また、レーザー溶接はピンポイントでエネルギーを集中させるため、溶接ビード(溶接部分)が均一で、仕上がりが美しくなります。そのため、医療機器や半導体部品の製造など、極めて高い精度が求められる分野で広く採用されています。

2.熱歪みが少ない

レーザー溶接は、高エネルギーのレーザー光を一瞬で照射して金属を溶融させるため、従来の溶接方法に比べて熱影響が非常に小さくなります。

例えば、アーク溶接では広範囲に熱が伝わるため、金属の膨張や収縮による歪みが発生しやすく、後処理が必要になります。一方、レーザー溶接では、熱が局所的にしか加わらないため、溶接後の部品の形状変化が少なく、精密部品の加工にも適しています。

■この特性から、特に以下のような用途で効果を発揮します。

  • 薄板溶接:スマートフォンの筐体や電子機器のカバーなど
  • 高精度部品の接合:航空機のエンジン部品や自動車のセンサー部品など)
  • 熱に弱い材料の加工:アルミニウムやチタン合金など)

3. 高速で効率的

従来の溶接方法に比べて非常に高速で溶接を行うことができます。例えば、アーク溶接では1分間に数cm程度の溶接速度ですが、レーザー溶接では10倍以上のスピードで処理することも可能です。

この高速性によって、大量生産ラインでの適用が容易になり、特に以下のような産業で活躍しています:

  • 自動車産業:車体の軽量化や強度向上を目的とした部品溶接
  • 家電製品の製造:スマートフォン、ノートPCの精密溶接
  • バッテリー製造:電気自動車のバッテリーパックの接合

また、レーザー溶接は消耗部品が少ないため、メンテナンスコストの削減にも貢献し、長期的に見てもコストパフォーマンスに優れた技術といえます。

4.自動化とロボット溶接に適している

近年の製造業では、人手不足や作業者の負担軽減のため、自動化が進んでいます。レーザー溶接は、ロボットアームやCNC(コンピュータ数値制御)装置と組み合わせることで、高精度かつ高速な溶接作業を完全自動化することができます。

■自動化のメリット

  • 24時間稼働が可能:人手が不要で、長時間の作業にも対応
  • 品質の安定化:熟練技術者に頼らず、均一な品質を確保
  • 生産ラインの柔軟性向上:多品種少量生産にも対応しやすい

特に、電気自動車のバッテリー製造や航空機部品の精密加工では、ロボットによるレーザー溶接が積極的に採用されています。

5. 様々な材料に対応可能

鉄やステンレスだけでなく、従来の溶接方法では難しかったアルミニウム、銅、チタン、ニッケル合金、さらにはプラスチックやセラミックの溶接にも対応できます。

例えば、以下のような用途で活用されています:

  • アルミニウム部品の接合:軽量化が求められる自動車や航空機の構造部品
  • 電子機器の微細溶接:スマートフォンの回路基板や半導体パッケージの接合
  • 医療機器の製造:ステンレス製手術器具やインプラントの接合

このように、レーザー溶接の適用範囲は非常に広く、今後も新しい材料への応用が進むと考えられます。

6. 溶接後の処理が簡単で、後処理コストを削減

レーザー溶接は、溶接ビードが滑らかで、バリやスパッタ(溶接時に飛び散る金属粒子)がほとんど発生しません。そのため、研磨や仕上げの作業がほとんど不要になり、製造コストを削減できます。

■具体的なメリット

  • 塗装・コーティング前の処理が不要になる(自動車の車体製造など)
  • 食品・医療機器など、清潔さが求められる分野に適している(スムーズな溶接面で汚れが付きにくい)

レーザー溶接の未来と今後の展望

近年では、ファイバーレーザー技術の発展により、より高出力・高効率なレーザー溶接が可能になっています。また、AIとIoTを活用したスマートファクトリーの実現に向け、レーザー溶接のさらなる自動化・高度化が進んでいます。
特に、電気自動車(EV)のバッテリー製造や、半導体の精密加工など、レーザー溶接が新たな分野での活躍が期待されています。持続可能な生産技術として、レーザー溶接は今後も進化を続けるでしょう。

まとめ

レーザー溶接は、特に高精度が要求される製品の製造において非常に有用な技術です。この技術を活用することで、企業は品質向上とコスト削減を同時に実現できる可能性があります。

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