製造業の現場では、プレス機の更新時期を迎えると「品質向上」と「自動化による省人化」を同時に考える必要があります。特に中小企業においては、初期投資と将来の生産性向上のバランスを考えた設備選定が重要です。
単に安価な設備を導入しても、後から改造や追加投資が必要になれば、ROI(投資対効果)が悪化してしまいます。そこで注目されているのが、段階的に自動化できるサーボプレス機です。
導入初期は作業者による手置き運用から始め、将来的にワークセット自動化や夜間無人稼働に移行できるため、リスクを抑えながら、投資効率を最大化できます。
設備更新は、単なる機械の入れ替えではなく「投資対効果」を考えることが重要です。
中小企業では、初期投資を抑えつつ生産性を改善するために、次のようなステップが効果的です。
①初期段階 | 手置き運用で歩留まりや条件を確認 |
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②拡張段階 | ワークセットの自動化や夜勤無人稼働で生産性向上 |
③総合評価 | 初期投資+拡張投資を含めた総ROIを算定 |
このアプローチにより、初期コストを分散しながら設備の投資回収期間を短くできます。
サーボプレス導入直後は、作業者がワークを手でセットして条件出しを行うのが効率的です。
● 人が作業することで、不具合発生時に気づきやすい
● 早期発見できるから、改善のスピードが速くなる
● データを蓄積しておくことで、後から自動化に移行する際のリスクが低減
この段階では、初期投資を抑えつつ生産の安定化を図れるのがメリットです。
自動化をスムーズに進めるには、I/O(入出力信号)の設計が重要です。
多くの一般的なサーボプレス機では、自動化改造時に追加の制御盤や配線工事、プログラム修正が必要になり、大規模な投資となりやすい傾向があります。
一方で、段階的自動化を前提に設計された設備は、必要なI/Oを標準で備えているため、後から周辺機器を接続するだけで改造が完了します。
これにより、初期投資を抑えながら将来の自動化に備えられるため、投資効率(ROI)が高くなります。
コアテックのマルチプレスは、自動化を視野に入れて以下のI/Oを標準で搭載しています
生産条件が安定した段階でワークセット自動化や搬送装置の追加を行うと、次の効果が期待できます。
● 作業者がほか業務と兼務 → 人件費削減
● サイクルタイムの短縮 → 生産量増加
● 無人稼働 → 夜勤帯も稼働すれば生産性が実質2倍
生産数や市場需要に応じて、段階的に自動化できるため、初期から無理に自動化を検討する必要がなく、設備投資のリスクを分散できます
ROIを意識したプレス機選定では、次の視点が重要です。
● 初期投資の規模と導入リスク
● 将来的な自動化拡張の容易さ
● I/O仕様や制御拡張性の有無
● 追加改造時の総投資コストと回収期間
設備を選ぶ際は、短期的なコストだけでなく、長期的な生産性向上と改造コストまで含めた判断が必要です。