今回は油圧プレスを使用される際にみなさんが設定されるであろうストローク長さ(位置)、スライド速度に着目してサーボプレスとの設定作業の違いを解説します。
【この記事がおススメな人】
ACサーボプレス
サーボプレス機 マルチプレス
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ストローク長さとは上死点から下死点までの距離のことを表します。
金型やダイセットの高さに合わせて変更しますが、薄板の打抜きやせん断加工の場合は、シビアなストローク長さの設定は必要ないため、ストローク長さが短い機種を選ばれた方が生産性がアップします。
逆に曲げ加工などの場合は、押し込むための長さが必要となるため、ストローク長さが長い機種が必要となります。
機種によっては”スライド調整量”として仕様に記載されている場合があります。調整ネジでこのストローク長さの範囲を調整することができます。
ACサーボプレスはプログラムで動作の制御を行います。ストローク長さも数値で設定します。
コアテックのACサーボプレスの場合は、0.01mm単位で設定が可能です。
コアテック製のサーボプレス機であるマルチプレスはACサーボプレスのようなプログラム制御ではなく、ウィザード方式で設定します。数値設定もタッチパネルで行うため、PCやキーボードなどは必要ありません。
1回のプレス動作をアプローチ速度終了位置、接触速度終了位置、停止位置の3段階に分けて設定できます。
圧入距離、ドゥエルタイム、戻る位置の3項目は必要に応じて設定します。
アプローチ速度終了位置 | 必須 | 空走部分が終わる位置です。一般的に原点からこの位置までは、最高速で設定することが多いです。 |
---|---|---|
接触速度終了位置 | 必須 | 金型とワークが接触する位置を指定します。 |
停止位置 | 必須 | 下死点位置のことで、これ以上は下降させない位置を設定します。 |
圧入距離 | (*)接触位置から指定した数値だけ下降させます。公差の範囲で接触位置が変わる際に使用します。 | |
ドゥエルタイム | 目標位置に到達したときの荷重の保持時間を指定できます。主にスプリングバックを軽減する目的で使用されます。 | |
戻る位置 | 2回目以降のプレス動作で、原点まで戻る必要がない場合に使用します。空走距離を短くし、サイクルタイム短縮を図ります。 |
(*)接触位置:アプローチ速度終了位置から、接触速度終了位置の範囲で、荷重を検知した位置を接触位置として認識します。
位置パラメータの設定画面
加工品質の向上、機械耐久性の向上を目的に速度を調整します。
主に圧力制御弁で、スライド速度を調整します。
位置の制御と同様で、プログラムで目標を設定します。
スライド長さと同様に、ウィザード方式で設定します。
1回のプレス動作をアプローチ速度、接触速度、圧入速度、戻る速度の4段階に分けて設定できます。
アプローチ速度 | 必須 | 空走部分の下降速度で |
---|---|---|
接触速度 | 必須 | ワークに接触する際の速度で、減速(低速)設定することで金型の負担を軽減します |
圧入速度 | 必須 | 金型とワークが接触してから加工完了までの速度で、ワークによって最適な速度は異なります。 |
戻る速度 | 必須 | 加工が終了後に原点に戻るときの速度です。一般的には最高速に設定しますが、場合によっては低速にすることもあります。 |
異常時に戻る速度 | 必須 | NG判定したときに、原点位置まで戻る速度です。 |
【速度設定画面】各数値をタップすると、数値を変更できる
このようなご要望にお応えして、動作設定を楽に作成できる機能をサーボプレスとマルチプレスに搭載しています。詳細はリンク先をご覧ください。
2021.08.27
2025.04.28
…
2021.09.02
2025.04.28
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ストローク調整とスライド速度の調整方法を油圧プレスとサーボプレス、サーボプレス機の場合で比較してみました。
油圧プレスの場合は、主にメカ調整で調整を行うため、サーボプレスの場合は、数値設定で行うため再現性と精度が高い点がメリットです。
同じものを大量生産される際は、サーボプレスも含めてご検討ください。
2025.02.10
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