【産業用カメラのインターフェース】いろいろ種類があるけど、どのような違い

【接写型ラインカメラ】

【この記事がおススメな人】

  • 産業用カメラに関して初心者の方
  • 産業用カメラのインターフェースの種類を知りたい方
  • インターフェースをどのように使い分ければいいのか知りたい方

2つのものを繋ぐ役割をしているもの・規格(ルール)のことです。
身近なもので例を挙げると…
パソコンとモニターを繋ぐ「ケーブル」、人とパソコンを繋ぐ「キーボード」や「マウス」これらは「インターフェース」になります。

画像入力インターフェースとは、「カメラとコンピューターの間で画像データを転送するための仕組み」のことです。
マシンビジョンで使用されている画像入力インターフェースにはさまざまな規格が存在します。

複数のインターフェースが存在する理由は?

マシンビジョンにおけるインターフェースは、なぜ複数の規格が存在するのでしょうか?

【要因①】アプリケーションの多様性

産業用カメラは、「検査」、「測定」、「監視」、「自動化」といった様々なアプリケーションで使用されます。
それぞれのアプリケーションに必要な「データ転送速度」、「画像品質」、「信頼性」、「遠隔制御」が異なるため、複数の規格が存在することで、さまざまなニーズに対応できます。

【要因②】技術の進歩

新しいセンサー技術、画像処理アルゴリズム、通信プロトコルが開発されるたび、それに対応する新たなインターフェースが必要になることがあります。様々な規格が存在することで、規格が競合し、技術の進歩の促進に繋がります。

産業用カメラの画像入力インターフェースの紹介

CameraLink(カメラリンク)

2000年にAutomated Imaging Association(AIA)によって開発された比較的古いインターフェースです。
カメラとコンピュータを「専用のケーブル」で繋ぐことで、高速なデータのやり取りが可能です。
Base、Medium、Fullといったデータの転送速度や解像度が異なる転送モードがあります。

  • コネクタ形状
    SDR(Standard Delta Ribbon)とMDR(Miniature Delta Ribbon)の2種類あり、サイズが異なります。
    SDRは、初期のCamera Linkインターフェースのコネクタタイプであり、一般的なピン配置と比較的大きなサイズを持っていました。
    後にMDRが開発され、ピン配置を高密度化しコネクタの小型化に繋がりました。

2023年5月時点での最新バージョンは2.1となっています。

CameraLinkが登場する以前は、アナログカメラが一般的でした。アナログカメラはデータ転送速度が制限されてしまい、マシンビジョンに要求される高解像度や高フレームレートの画像処理には適していませんでした。CameraLinkの登場は、デジタル化と高速データ伝送の要求に応えるために行われ、産業用マシンビジョンの性能向上に大きく貢献しました。

 

CoaXPress(コアックスプレス)

2010年にCoaXPress Standards Groupによって開発された比較的新しいインターフェースです。同軸(Coax)と高速(Express)を組み合わせて名づけられました。
カメラとコンピュータを「同軸ケーブル」で繋ぐことで、ノイズの影響を受けにくく、信号の減衰を抑えCameraLinkよりも伝送距離が長くすることができました。遠く離れた場所で撮影された画像データも安定した転送が可能になりました。
2023年5月時点の最新バージョンは2.0。

例えば検査対象がフィルム製品でロールtoロール方式で生産される場合、生産設備が大型なため、カメラの近くにコンピュータ(画像処理機器)を設置できない場合があります。
CoaXPressであれば最大100mまで伝送できるため、自由なレイアウトで設置することができます。

GigE Vision(Gigabit Ethernet Vision)

1999年にイーサネット技術を規格化する団体であるIEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)によって開発されたインターフェースです。
通常のイーサネットが数十メガビットの速度でデータを転送するのに対し、GigEはギガビット(1,000メガビット)の速度で転送可能にしました。
要件によっては、PCのEthernetポートが利用できるためグラバーボードが不要です。他のインターフェースを比べて、手軽に利用でき伝送距離も長い点が特長です。
2023年5月時点の最新バージョンは2.1。

USB3.0(Universal Serial Bus 3.0)

2013年に米国のインテル(Intel)社によって開発されたインターフェースです。
USB3.0のポートを持つコンピュータに、USB3.0対応のデバイスを接続することで高速かつ効率的なデータの送受信が可能です。USB2.0と比べ約10倍の速度(最大5ギガビット)の速度で転送可能になりました。
USBは一般的なコンピュータインターフェースであり、多くのコンピュータがUSBポートを備えています。USB3.0の登場により、高速データ転送が可能な汎用的なインターフェースとして、マシンビジョンシステムにおける相互接続性と普及度が向上しました。
手軽に利用できることから、USB3.0をサポートするカメラが増え、広く利用されるようになってきています。
2023年5月時点の最新バージョンは1.1。

規格ごとに仕様を比較

各インターフェースごとに仕様が異なることがお分かりいただけたと思います。
生産ラインへの取付を考慮する際の選定基準になる伝送速度、伝送距離、ケーブル本数の3項目を比較してみます。

伝送速度

CameraLink(最新ver.2.1) CoaXPress(最新ver.2.0) GigE(最新ver.2.1) USB3(最新ver.1.1)
構成 転送速度 構成 転送速度 構成 転送速度 構成 転送速度
Lite 100 Mbytes/s CXP-3 300 Mbytes/s 1 GigE 115 Mbytes/s USB 3.0 400 Mbytes/s
Base 255 Mbytes/s CXP-6 600 Mbytes/s 2.5 GigE 280 Mbytes/s
Medium 510 Mbytes/s CXP-12 1,200 Mbytes/s 5 GigE 570 Mbytes/s
Full 680 Mbytes/s 4x CXP-6 2400 Mbytes/s 10 GigE 1,100 Mbytes/s
72-bit 765 Mbytes/s 6x CXP-6 3600 Mbytes/s Wifi 25 Mbytes/s
80-bit 850 Mbytes/s

 

伝送距離

各インターフェースの最大ケーブル長です。最大長で使う場合は、条件や仕様が限られる場合があるので確認が必要です。
カメラとコンピュータの設置距離だけで、検討するとケーブル長が不足する場合があるので、ケーブルの取り回しも考慮する必要があります。
どうしてもケーブル長が不足する場合は、リピーターと呼ばれる延長装置が利用できる場合があります。ただし機器の相性が悪いと画像伝送ができない場合もあるので注意が必要です。

CameraLink CoaXPress GigE USB3
10m 85m *1 100m *2 5m

*1 直径6mmケーブルを使用した場合の最大長
*2 給電能力を有する場合

ケーブルの本数

インターフェースによっては、高速仕様になるとケーブルが複数本で使うものがあります。

CameraLink(最新ver.2.1) CoaXPress(最新ver.2.0) GigE(最新ver.2.1) USB3(最新ver.1.1)
構成 ケーブルの本数 構成 ケーブルの本数 構成 ケーブルの本数 構成 ケーブルの本数
Lite 1本 CXP-3 1本 1 GigE 1本 USB 3.0 1本
Base 1本 CXP-6 1本 2.5 GigE 1本
Medium 2本 CXP-12 1本 5 GigE 1本
Full 2本 4x CXP-6 4本or複合ケーブル 10 GigE 1本
72-bit 2本 6x CXP-6 6本or複合ケーブル Wifi 不要
80-bit 2本

コアテックが採用しているインターフェースは?

接写型ラインカメラ/接写型ラインカメラmini

2011年から販売している接写型ラインカメラは、一般的なラインスキャンカメラとは異なり、最大2,311mmの幅を1台のカメラで撮像できます。1Lineあたり55,000画素を超えるため、高速かつ信頼性のあるCameraLinkを採用します。

接写型ラインカメラ本体

POLASTARシリーズ(3Dカメラ)

POLASTAR(ポーラスター)シリーズは、多関節ロボットに3Dカメラヘッドを取り付け、溶接部分をなぞるように3Dスキャンします。自動車のシートフレーム(座席)やバンパーなどワークサイズが大きいものもあり、可動域が広くなることがあります。そのため伝送距離が長く、1本で接続できるGigEを採用しています。

まとめ

画像入力インターフェースにはそれぞれ特性があり、転送速度、転送距離、ケーブル本数が異なります。
使用する環境に合わせて、採用するインターフェースを使い分けることをおすすめします。

接写型ラインカメラ

一般的なラインスキャンカメラとは異なる構造で、ワークの幅が1,000mmを超える大型であっても1台で撮像ができます。特殊レンズを内蔵し接写を実現し、狭く限られたスペースでも設置いただけます。検討のサンプルテストから、現地工事まで幅広く対応します。

POLASTARシリーズ(溶接検査システム)

3Dカメラヘッドを多関節ロボットに取り付け、外観検査を自動で行います。溶接専用の検査ソフトがセットなので、ソフト開発は必要ありません。導入前テスト~現地工事~導入後サポートまで対応しています。

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