フレームグラバー(画像入力ボード)とは?

【接写型ラインカメラ】

検査機をはじめて検討される方にとって、構成される部品は聞きなれない言葉ばかりだと思います。
エリアカメラやラインスキャンカメラといった、産業用カメラを用いて検査システムを構築する場合、画像処理を行うコントローラが必要になってきます。
画像処理コントローラに産業用のFAパソコンを使用した場合、画像データをパソコンへ伝送するために必要にるフレームグラバー(画像入力ボード)について、カンタンにご紹介します。

■フレームグラバーの別名(参考)
画像入力ボード、グラバーボード、インターフェースボード、キャプチャーボードなどとも呼ばれることがあります。
※民生品のキャプチャーボードもありますが、目的が異なる場合もあるため注意が必要です。

【この記事がおススメな人】

  • フレームグラバーについて調べている方
  • 産業用の画像処理システムの構成について調べている方
  • 検査機の導入を検討中の方

専用形状のコネクタと接続するため

産業用のカメラにはさまざまなインターフェース(画像伝送方法の方式)があります。USBやEthernetといった汎用インターフェースもあれば、CameraLinkやCoaXPressといった専用形状のインターフェースもあります。後者については、専用インターフェースのためフレームグラバーが必須です。

カメラから送られてきたデータを1枚の画像にする

ここではラインスキャンカメラを例に紹介します。
ラインスキャンカメラからは1Line分の画像データが送られてきますが、このままでは画像処理には使えません。複数Line分の画像データをフレームグラバーのメモリに蓄積し、1枚の画像を生成後、パソコンのメモリに送られて画像処理されます。

このときの蓄積できるLine数はフレームグラバーで設定します。また、蓄積できる最大Line数はメモリの容量などの仕様によって異なります。

フレームグラバーを必要としない規格もある

USB3.0やGigEのコネクタ形状は、一般的なUSBやEthernetと同じものになっています。細かな仕様が適合している場合は、もともとフレームグラバーを追加せずにPCに搭載されているポートをそのまま利用できます。フレームグラバーは数万円~数十万円するものもあるため、トータル費用を抑えるメリットになりますが、パソコンのCPUにとっては受信処理で重い負荷がかかることを考慮する必要があります。

■USB3.0やGigEでも、フレームグラバーを使用するメリット
・1台のパソコンに複数台のカメラを接続できる
・CPUへの負荷を低減できる
・ケーブルをネジで固定できる

フレームグラバーが作られた背景

もともとは産業用カメラもアナログ信号で画像データを出力していました。このデータをパソコンに取り込むためには、アナログデータからデジタルデータへ変換する必要があり、フレームグラバーはこの役割を担っていました。
現在では産業用カメラ自体がデジタル化され、アナログカメラはほとんど無くなりましたが、カメラが高解像度や高速化されると共に、転送速度もより高速なものが要求されるようになってきました。
画像データが大きくなることで、パソコンのCPUの負荷も大きくなることからフレームグラバーを用いて負荷低減の効果が見込めます。

フレームグラバーはパソコンのどこに接続する?

フレームグラバーはPCIスロットを使って接続する方法が一般的です。PCIスロットにも規格があるので注意が必要です。
PCIボード(拡張ボード)には色々な規格やサイズがありますので、パソコンにあったPCIボードを選定しないと正しく取り付けることが出来なくなります。

マザーボードのPCIスロットの例
参考:PCIボード(拡張ボード)の違いと選び方

まとめ

検査に用いる産業用カメラの伝送方法にはさまざまな規格があり、画像処理を行うパソコンへの橋渡し役としてフレームグラバーが存在しています。もともとは「アナログデータ→デジタルデータへ変換」が主目的でしたが、カメラのデジタル化、高解像度化、高速化に伴って役割が変化してきました。

CameraLinkやCoaxPressといった必ずフレームグラバーが必要な規格(専用インターフェース)だけでなく、パソコンに搭載されているUSB3.0やGigEといった規格(汎用インターフェース)を使用できるものもあります。後者はフレームグラバーが必須ではないため、主にエリアカメラを安価かつ手軽に接続できるため採用されるケースが増えています。
対してラインスキャンカメラは、複数台の接続、エンコーダ同期、高速伝送など要求仕様が高いため、CameraLinkやCoaxPressで接続する場合が多くなっています。

汎用インターフェースが普及していくにつれて、「フレームグラバーは減っていくのでは?」と予測時期もありましたが、画像処理を行うCPUの負荷低減や、カメラの複数台接続などの理由から汎用インターフェースでもフレームグラバーを使用されるケースもあります。

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